殺人の追憶

 
 
すばらしい作品です。かなり、気を抜いて見始めたのですが、気がつけば、一気にラストまで見入ってしまいました。
 
先の作品で書いたように、結末が私の映画評価の重要なポイントです。しかし、この映画も「未解決事件」を題材にしているので、犯人は捕まっておらず、結末としては「未解決」という事が見る前から分かっていました。そのためか、興味深いのは「どのように、この映画を終わらせるのか?」というラストだけでした。
 
たぶん、この映画を見た人がどう評価するかは、この「未解決」というラストをどのように受け入れるかによって、分かれると思います。
 
監督がそんな視聴者を意識してか、ソン・ガンホをコミカルな役柄として描くためなのか、前半は地方刑事達の無茶苦茶な捜査が、ある種微笑ましく描かれています。(ただ、この時代の捜査が、こんな適当な方法であったことは、とても恐ろしい気がします)
しかし、ソウルから来たエリート警察官の論理的な推理、行動や言動が少しずつ加わり、それぞれの役柄が変わり始めていきます。
 
さらに、見終わって気がついたのですが、(もちろん、犯人が捕まっていないので)犯人の登場場面は映像としては無いのですが、犯人の目線から被害者の女性が襲われるシーンがあります。その一瞬、すべての視聴者が犯人になります。その一瞬が、この映画の隠し味になっているのではないかと思います。もし、このシーンがないと、たぶん、ラストシーンのソン・ガンホの表情を、彼の目線で見るか、単なる視聴者として見るか、大きく分かれるのではないかと思います。
 
ちょっとネタバレですが、容疑者が暗いトンネルの中へ消えていくのは、まさに犯人が捕まらずにやみの中に消えていくのを象徴しているように思われました。
 
日本人以上に、この映画の題材となった事件について知っている韓国人の人達が、2003年の映画の中で一番の観客動員を集めたことに納得しました。
 
内容が内容だけに重い映画ですが、何度も見るでしょう。

エレファント

 
 
ようやく見ました。というか、やっと WOWOW で放送された。
 
私は、映画に「結末」を求めて見ます。たとえ、それが絶望的な結末であろうとも、ひとつの節目という意味で「結末」の無い物語は好きではありません。そういう意味では、すでにこの事件は犯人の高校生が最後には自殺すると言う結末を持っており、この映画がその結末をどのように描くかに興味をいただいていました。単にフィクション映画であるなら、たぶん、「ローリング・フォー・コロンバイン」の方が意味あるし、製作者のムーアと視聴者の関係も明確です。では、この映画は、その結末をどのように描いたのか?
 
この点から言えば、正直物足りなさを感じました。たぶん、パルムドールは受賞できても、アカデミー賞は受賞できない(できなかった。というか、ガス・ヴァン・サントもそんなこと望んでいないか。)映画であることは、誰でも想像できます。
 
ガス・ヴァン・サントの作品は好きです。ドラッグ・ストア・カウボーイ、グッド・ウィル・ハンティング、そして、サイコ。たぶん、ストーリの深みより、映像の深みによって、その内容を伝えるのがうまいのだと思います。
 
そういう意味では、とても美しく、綺麗な映画でした。生まれて間もない十代という命が、はかなく、簡単に一発の銃弾によって、理不尽に壊れていく。そして、何の意味も無く、何の理由も無く、ただただ、引き金が引かれるだけである。
 
たぶん、あと、生涯の中で数回見ると思います。
同じ映画を何度も見る私にとって、数回と言うことは、ある意味で「見ない」に等しい。私にとっては、そんな映画でした。

UNSPEAKABLE 殺戮者

 
 
久しぶりの記録なのに、かなりの B 級ものです。 デニス・ホッパー、ディナ・メイヤー、ランス・ヘンリクセン という、そうそうたる役者が出ています。しかし、ホラーと言えず、サスペンスと言えず、あえて分類するなら、サイコサスペンスでしょうか。
 
ストーリとしては、心理学者がブレインスキャンと言う過去にさかのぼって記憶をスキャンできる装置を作り出し、その装置連続殺人犯の心理を調査するのですが、その中で一人の凶悪殺人者を調査していくというものです。
 
所謂、ザ・セルと羊たちの沈黙を足したようなもの。どうも、中心的な人物の凶悪犯が役柄が薄いためか、レクター博士のような深みある役柄には見えず、奇怪な行動や言動が単なる狂気としかうけとれませんでした。調べてみると、凶悪犯役の人が脚本も担当しているようです。
 
凶悪犯も、膨らみを出すために、聖書用語を使い、イエス・キリストを創造させるかのような行動や言動をとるのですが、いまいち突込みが浅いためか、単なる狂人者としか見えない。
 
最後も、結局、誰が主人公であったのか、なにを伝えたいのか分からずじまいの結末でした。
 
 

トゥームレイダー2

トゥームレイダー2

パート1 のDVD を持っているので、いつか買おうと思っていたら、WOWOW で放映されました。

簡単に言えば、トレージャーハンターの謎解きはなくなり、よりいっそう単純なアクション映画になってしまった。とても残念。ギリシャ、上海、香港、アフリカというロケーションはすごいが、結局それだけ。パート2の難しさか?

パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち

パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち

ジョニー・デップ 主演映画。2時間半近くの映画ではあるが、テンポ良く見られる。しかし、どうもストーリの中心になっている主人公の生い立ちと鍵をみぎる父親の部分の説明・話が薄い。その点は、パート2を思わせます。

が、この後、ジョニー・デップはシリアスな映画ばかりに出ているところを見ると、次回策は無い?

 

 

SWAT

麻薬王の護送にあたった武装警察 S.W.A.T.に襲い掛かる賞金目当ての武装集団。

70年代の人気ドラマを、サミュエル・L・ジャクソン、コリン・ファレルら人気俳優共演で映画化したポリスアクション。

チームメンバーの裏切りと元 SWAT 隊員が組んだチームとサミュエル率いる SWAT チームの戦いになる。気持ち的には、もう少し SWAT のトレーニング風景を多くしてほしかった。面白いが、チケットを買って見には行かないかなぁ。

タイムライン

タイムライン

原作 マイケルクライトン、監督 リチャード・ドナー、特撮は ILM が担当。バリバリのハリウッド映画。

2004年1月に劇場公開されたものですが、結構な宣伝を行っていたのを覚えています。

ストーリーとしては、簡単に言えば時空間トラベルの話しです。同じようなもので、空間移動(ワープ)が話しになっている、『スターゲート』を思い出すが、この映画では軍や物理学者がメインではなく、システムを作成した企業と考古学者というところがちょっと面白い。しかし、考古学者でありながら、過去に飛んで、歴史をバリバリ変えてしまう、いや、歴史を作っちゃうという話し。

ストーリーそのものよりも、面白いのは話しの中に出てくる転送装置(=タイムマシン)のシステムだ。物体を分子レベルに分解し、ファクスのように別の場所へ送信すると、たまたま発生しているワープホール(14世紀のフランス)に届いていた。

マシンを作成した企業は、タイムマシンというよりも、物体の空間移動を目的で、ファックスをイメージして、マシンAからBに転送を試みている内に、14世紀にデータが送信されていることに気づく。ただ、このマシンに欠陥があり、転送エラーを起こすため、人体を数回の転送した場合、復元の際にズレを起こす欠陥マシンであった。ここら辺は、さすがクライトンが原作だけあって、とても面白いと思いました。

 

ヴァンパイア 最期の聖戦

ヴァンパイア 最期の聖戦

主演 ジェームズ・ウッズ、製作 ジョン・カーペンター。

熱狂的なファンを持つジョン・カーペンター監督が描くヴァンパイア・ムービー。

600年間生き続ける吸血鬼の先祖的存在ヴァレックにハンター仲間を殺されたヴァンパイア・ハンターのジャック(ジェームズ・ウッズ)は、ヴァレックに血を吸われた娼婦を用いて彼らの居場所をつかみ、壮絶なバトルを繰り広げていく。

何せこのヴァンパイアたち、十字架もニンニクも効かず、苦手なのは太陽光線と胸へ突き刺すクイのみというツワモノであり、全体のテイストもホラーというよりヴァイオレンス西部劇タッチ。カーペンターらしい、マイナー路線のメジャー作品(意味不明)。

ドラキュリアII 鮮血の狩人

ドラキュリアII 鮮血の狩人(Wes Craven Presents Dracula II: Ascension)

ドラキュリアの続編。主演は、ジェイソン・スコット・リー。彼は、カートラッセル主演の『ソルジャー』にて、最新型の兵士として登場しているし、『ブルースリー物語』では、主演になっている。この映画の同時期には、ジャン・クロード=ヴァン・ダム主演で大ヒットを記録したアクション『タイムコップ』の続編でも主演を演じている。

ただ、続編といっても、前回との繋がりは無い。そして、ストーリもドラキュラが中心ではなく、その不老不死の力を得ようとする医学教授と医学生が復活したドラキュラを奪い合うというお粗末さ。不老不死といっても、結局はドラキュラになるということであり、かつ、バンパイアハンターの神父(ジェイソン・スコット・リー)に殺される。しかし、最後にドラキュラと感染した医学生の女が逃げ出し、続編に続くという終わり方。前作よりも、バンパイアハンターらしいシーン(ドラキュラの首を刈る)が多いが、それであれば、『ブレイド』の方がカッコいい。さらに、神父の生い立ちも、ドラキュラと人間の両方の力を持つようなシーンがあるが、イマイチ説明不足。マトリックスのように、全部出てから見るべきパターンの映画。(結局は、予算の問題かぁ)

しかし、すでに続編があり、Dracula 3 : Legacy Jason Scott Lee ということで作成されている。残念ながら、日本語は無し。

 

ドラキュリア

ドラキュリア

数あるドラキュラ映画の中では、斬新なストーリというか、ドラキュラは「キリストをローマに売ったユダだった」というは面白い。ドラキュラが嫌いな、1)十字架や聖書は、ユダが裏切る前はキリストに仕える使徒であったことから、2)銀は、キリストを売った際の報酬として銀貨を受け取ったことから、3)不死は、神がユダに死を許さなかったという事が描かれている。このユダという発想は、妙に納得しました。

この映画の中にも、ヴァン・ヘルシングが登場する。彼は、ドラキュラを捕まえることはできたが、彼を殺すことができなかったため、吸血ヒルにドラキュラの血を吸わせ、そのヒルの血を定期的に自身に注射して、生き永らえてきていた。彼の金庫に、数人の泥棒が押し入り、ドラキュラの棺を盗み出したことから、ドラキュラが復活してしまう。

復活したドラキュラは、ヴァン・ヘルシングの子供(ヴァン・ヘルシングがドキュラの血を摂取したことにより、その子供がドキュラの血を受け継いでしまった。)を自らの血を分けたものとして、追いかけ始める。ヴァン・ヘルシングは、ドラキュラとの戦いに敗れ、その甥と娘がドラキュラと戦いあう事に。その結果、キリスト像にかけられたロープにて首をつられ、改めて、死を与えられる。死体は、ロンドンの大英博物館に保存され、それを娘が守るという結末。なかなか、斬新なストーリと映像はとても面白かった。実は、続編ができているのであるが、繋がりはゼロ。残念。

ヴァン・ヘルシング

ヴァン・ヘルシング

ヴァン・ヘルシングのオリジナルは、ブラム・ストーカー原作の「吸血鬼ドラキュラ」に登場する。ヴァン・ヘルシングは、アムステルダム大学の名誉教授で、精神科医でもある60歳の老人として描かれている。

モデルはブダペスト大学の東洋学の教授アミニウス・バンペリ(本当に吸血鬼伝説とか調べている人だったらしい)という人物というのをインターネットで見ました。

さて、本作品についてですが、主演のヒュー・ジャックマンと『アンダーワールド』のケイト・ベッキンセール。ケイトは、アンダーワールドでは吸血鬼役でしたね。

一言で言えば、ごった煮。シリーズ物になるぐらい、いろいろな要素がありすぎ。ドラキュラ、フランケンシュタイン、狼男、ハイドとジキルとモンスター勢ぞろい。まず、最初のモンスターハンターとしての主人公をもう少し描いてほしかった。さらに、ヴァン・ヘルシングとドキュラの関係が「含み」を持たせている割に、はっきりとしなかった。私は、DVD で見たが、映画のパフレットには次回作があるらしいとの記述がある。

タイタンズを忘れない

タイタンズを忘れない

アメフト映画が好きな人は、必ずあげる一本。デンゼル・ワシントンが、高校のヘッドコーチに就任するも、時代は 70年代黒人迫害全盛期。その中で、黒人と白人の生徒たちが互いを認め、チームとしてまとまり、州のチャンピオンになる。実在の話しを再現した、すばらしい一本。

特に、面白かったのは、今や当たり前のショットガンがこの時代では珍しいプレーになっていた。

 

キル ビル

キル ビル見ました。

まさに、タランティーノの映画。自分が好きなものをすべて盛り込んだという感じですね。しかし、これってアメリカ人は見て楽しいのだろうか?逆に、日本人にしてみると、中途半端な感じである。ストーリも、パート2と合わせての内容なので、これだけ見ても….

血がいっぱいでるので、その手の映画が嫌いな人は非常にきびしい。

 

ラスト パス (Second String)

ラストパス

いわゆる、アメリカンフットボールの話。プレイオフに進出したNFLチームが祝賀パーティを開いた結果、一軍の選手が全員食中毒になってしまう。そのため二軍の選手だけでスーパーボウルまで勝ち進み、ラストパスでゲームが終わるというコメディです。はっきり言って、ヘッドコーチ役のジョン・ボイドだけが有名で、後は、CSI のニック役の俳優ぐらい。たまたま、WOWOW で見たのですが、日本語の DVD は出ていないのではないかと思います。というか、邦題がいろいろあるぐらいですから。

この手の映画、大好きです。落ち込んだときには必ず見てしまいます。落ちこぼれ集団が、最後には勝利する。同じストーリで、キアヌリーブスが主演したリプレイスメントも大好きです。好き嫌いがはっきりタイプですが、アメリカ人は大好きだと思います。

 

 

バレット モンク

ちょっと更新を怠った。見たら、すぐ書くことにしよう。ということで、過去にさかのぼって、記録。

バレット モンク

チョウ・ユンファ 主演のアクション映画。チベットの僧が、代々秘伝の巻物を守り抜いていく。その巻物を守る僧は、選ばれし者であり、自分の代が終わるまで年をとることが無い。その不老の力にナチの人間が目をつけ、彼を追い続ける。そして、新しい代へ受け継ぐために、チョウ・ユンファがニューヨークにやってくる。新しい代の僧とは、チベットの僧侶ではなく、ニューヨークに生まれのアメリカ人。

格闘技は、ワイヤーアクション一杯ですばらしいが、ストーリーとしてはイマイチ。エディ・マーフィのゴールデン・チャイルドとも同じであるが、チベットの摩訶不思議が最後にはハリウッド映画になってしまうので、ストーリーとして入り込めない。

ガメラ2 レギオン襲来

ガメラ2 レギオン襲来

平成ガメラシリーズの第2弾。聖書に書かれたレギオンという悪霊と道の生物をかけたもの。前回のギャオスは、環境の悪化によって、太古の生物が卵から孵化するという話であったが、レギオンは携帯などの電波社会の影響によって、北海道から首都東京に向かって進むというストーリーが描かれており、所謂、人の地球環境への警鐘を表している。

現在の特撮のように、CG をふんだんに使うわけではなく、各カットごとに撮影のカメラから構図にあわせて特殊セットを設営したらしく、従来の方法を取るゴジラよりは映像は面白い。

それでは、時代的な古さは感じてしまう。

サイモン・バーチ

とにかく、観ると号泣してしまう大好きな映画を一本。

生まれつき体が小さく、いつ死ぬかわからない奇病を抱えて生きるサイモンと彼の親友のジョーが、病気と自分の父親探しから「自分が生まれてきた意味」を見つけようとする姿を描いた一本。

脚本は、ジョン・アーヴィングの「オーエンのために祈りを」がベースになっています。同じクリスチャンとして、サイモンの信仰に根差したセリフは胸に刺さるものがありました。

ただ、ただ「泣ける」という一本で、言葉に表現できない一本です。すばらしい一本です。なぜか、これがキャンペーンで安くなってしまうかが分かりません。

 

9デイズ

アンソニー・ホプキンスとクリス・タッカーという異色のコンビによるアクションサスペンス。

覆面捜査で核爆弾を買い取ろうとしていた CIA のエージェントがテロリストに射殺され、その兄の存在さえ知らなかった双子の弟が身替わりスパイとして操作を続ける 9日間を映画にしたもの。

ありがちではあるが、たった 9日間で一流のエージェントに成長し、ニューヨークを核爆発から守ってしまうという突拍子も無いアメリカ映画である。ただ、やはり、アンソニー・ホプキンスの老練のエージェント役はすばらしく、過激なアクションもこなしている。クリス・ロックも、お得意のトーク場面はあるが、決してコメディ映画ではなく、アクション場面も多数ある。

個人的には、1本の映画にするには、ネタが多すぎと言う感じです。プラハの街並みは、映像として良かった。

ガメラ 大怪獣空中決戦

ガメラ生誕30周年を記念し、作成された平成ガメラシリーズの第1弾。WOWOW にて一挙に3作が放送されたために改めて、鑑賞しました。

単純に面白かったです。ガメラとギャオスのアップでは、ちょっと作り物ぽさが見えましたが、95年公開と考えるとまあまあのできではないかと思います。
改めて観ると、実はゴジラと違い、ガメラは人工だったという話しはビックリした。十年前に作成されたわけですが、自衛隊がかなり攻撃的だった点は良かった。中山忍、藤谷文子の女性陣の演技が、ちょっと残念だった。

この後に控える「ガメラ2 レギオン襲来」、「ガメラ3 邪神<イリス>覚醒」と期待したい。